赤ちゃんの言葉の発達は、多くの親にとって大きな関心事です。「他の子と比べてしゃべるのが遅いかも」と心配になるのもわかります。しかし、言葉の発達には個人差があるので、焦る必要はありません。赤ちゃんは生後0か月の泣き声から始まり、徐々に複雑な表現へと進みます。
この記事では、赤ちゃんの言葉の発達段階や促進方法、赤ちゃん言葉の使用について詳しく解説します。記事を読めば、赤ちゃんの言語発達を適切にサポートする方法がわかり、親として自信を持った対応が可能です。赤ちゃんの成長を楽しみながら、健やかな言語発達を促進しましょう。
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赤ちゃんが言葉をしゃべる発達段階
赤ちゃんの言葉の発達は、生まれたときから始まっています。泣き声から始まり、徐々に複雑な表現へと変化します。発達は驚くほど急速で、わずか2年ほどで基本的な会話が可能です。赤ちゃんの言葉の発達段階を月齢ごとに詳しく見てみましょう。
生後0か月頃:泣く
生まれたばかりの赤ちゃんにとって、泣くことは最も重要なコミュニケーション手段です。赤ちゃんは泣くことでさまざまな要求や感情を表現します。泣き声の特徴は以下のとおりです。
- 空腹を知らせる泣き声
- おむつの濡れを訴える泣き声
- 抱っこを求める泣き声
- 眠いときの泣き声
- 不快感を表す泣き声
空腹時の泣き声は強くリズミカルな特徴があり、眠いときは小さくグズグズとした泣き方をします。不快感を感じているときは激しく長く泣き続けます。親は赤ちゃんの泣き声のパターンを理解することで、適切なケアが可能です。泣くことは赤ちゃんの脳の発達や肺機能の強化にも役立ちます。
生後2~3か月頃:クーイング
生後2〜3か月頃は、クーイングと呼ばれる「アー」「ウー」などの母音のような声を出し始める時期です。クーイングは赤ちゃんが機嫌の良いときによく見られ、声を出すことそのものを楽しんでいる様子が伺えます。周囲の人とのコミュニケーションを始める時期と言ってもいいです。
親や周りの方が赤ちゃんの声に反応すると、赤ちゃんも声で応答しようとします。赤ちゃんが「アー」と言ったら、親も「アー」と返すことで、赤ちゃんは喜んでさらに声を出そうとします。
クーイングは言語発達の重要な一歩です。赤ちゃんに積極的に話しかけることで、コミュニケーション能力の基礎を築けます。赤ちゃんの声に笑顔で応答し、優しく語りかけましょう。
生後4か月頃:子音が混じった声
生後4か月頃になると、赤ちゃんの声に大きな変化が現れます。子音を含む声を出し始めるのが特徴です。赤ちゃんの声の変化は以下のとおりです。
- 「ブー」や「バー」などの子音を含む声
- 声を使った遊びの増加
- 感情表現豊かな声質
- 声の調子や大きさの変化
生後4か月頃では、赤ちゃんが自分の声で遊ぶことを楽しみ始めます。おもちゃを見せると「バッ」と嬉しそうに声を上げたり、嫌なことがあると「ブー」と不満そうな声を出したりします。コミュニケーションの基礎が形成されていく重要な段階です。赤ちゃんの声の変化に注目し、優しく応答しましょう。
生後5~6か月頃:喃語
生後5〜6か月頃になると、赤ちゃんは「喃語(なんご)」と呼ばれる、意味のない言葉のような音を発し始めます。「バババ」「マママ」などの音の繰り返しが特徴的です。赤ちゃんは自分の声を楽しむように発声し、声の調子や大きさを変えて遊びます。
喃語は、将来の言語習得に向けた重要な準備段階です。赤ちゃんは喃語を通じて、言葉の音やリズムを学びます。「ママ」という喃語は、後に「ママ」という意味のある言葉になります。親や周りの人の声を真似しようとする様子が見られることも多いです。
赤ちゃんの喃語に対して、優しく応答することが大切です。「そうだね、ママだよ」など、赤ちゃんの発声に意味を付けて返すことで、言葉の理解を促せます。赤ちゃんとの会話を楽しみながら、言語発達をサポートしましょう。
1歳頃:一語文
1歳頃になると「一語文」と呼ばれる意味のある単語を話し始めます。一語文の特徴は以下のとおりです。
- 「ママ」「パパ」などの身近な人の呼び名
- 「ワンワン」「ブーブー」などの擬音語
- 「バイバイ」「ダッコ」などの簡単な言葉
- 「チョウダイ」など要求を表す言葉
1歳頃の赤ちゃんは、およそ20~50語程度の語彙を持っています。一語文の段階では、赤ちゃんは1つの単語でさまざまな意味を表現します。「マンマ」と言って食事を要求したり「ブーブー」と言って外出したい気持ちを伝えるなどが典型例です。
言葉と動作を結びつけて理解することも増え「バイバイ」と言いながら手を振るなどの行動も見られます。1歳頃の赤ちゃんに対しては、言葉に耳を傾け、適切に応答することが重要です。赤ちゃんの一語文を拾い、意味を付け加えて返すことで、語彙の拡大と言葉の理解を促せます。
1歳半頃〜2歳半頃:二語文
1歳半から2歳半頃になると、赤ちゃんは「二語文」を話し始めます。「ママ、いく」「ワンワン、きた」など、2つの単語を組み合わせて意味のある文をつくることが可能です。語彙は急速に増加し、1日に1〜2個の新しい単語を覚えます。
二語文の段階では、赤ちゃんの自己表現能力が大きく向上します。「もっと、みる」「いっぱい、たべる」など、自分の要求を具体的に伝えることが可能です。「これ、なに?」といった質問形式の文も使います。文法的には不完全ですが、意味が通じる文を話せます。
言葉の発達を促すには、赤ちゃんの言葉をしっかり聞き、適切に応答することが大切です。赤ちゃんが「ジュース、のむ」と言ったら「そうだね、ジュースを飲みたいんだね」と、完全な文で返しましょう。文章力の向上を助けられます。絵本の読み聞かせや日常的な会話を通じて、赤ちゃんの言語能力を育みましょう。
赤ちゃんの言葉の発達を促す方法
赤ちゃんの言葉の発達を促す方法は以下のとおりです。
- 赤ちゃんの言葉をそのまま真似する
- たくさん話しかける
- 先回りして話さない
- 言い間違いを指摘しない
- 絵本を読み聞かせる
赤ちゃんの言葉をそのまま真似する
赤ちゃんの言葉を真似することは、言葉の発達を促す効果的な方法です。「逆模倣」と呼ばれ、赤ちゃんに自分の言葉が伝わったという喜びを感じさせます。赤ちゃんが「ワンワン」と言ったら、同じように「ワンワン」と返し「マンマ」と言ったら「マンマ」と繰り返すイメージです。
逆模倣のメリットは、赤ちゃんが自分の発声が認められたと感じ、さらに言葉を発しようとする意欲が高まることです。赤ちゃんの言葉を真似ることで、親子のコミュニケーションが活発になり、言葉の習得が促進されます。
赤ちゃんの言葉を真似る際は、肯定的な態度で接してください。笑顔で応答したり、優しい声で真似ることで、赤ちゃんは安心して言葉を発せられます。
たくさん話しかける
日常的にたくさん話しかけることで、赤ちゃんの言語発達を促せます。身の回りのものや、赤ちゃんが興味を示したものについて説明しましょう。散歩中に犬を見かけたら「わんわんだね。かわいいね」と声をかけたり、車が通ったら「ブーブーが来たね」などと話しかけます。
赤ちゃんの興味に合わせて話しかけることが大切です。赤ちゃんが見ているものや触っているものについて話しましょう。赤ちゃんがおもちゃを見ていたら「青い積み木だね。四角い形をしているね」と説明します。
話しかける際は、ゆっくりと明瞭に話すよう心がけましょう。赤ちゃんの目線に合わせて表情豊かに話すと注目を集めやすいです。日常会話を通じて言葉の音やリズム、意味を少しずつ理解します。
言い間違いを指摘しない
赤ちゃんの言葉の発達を促すには、言い間違いを直接指摘しないことが大切です。代わりに、正しい言い方を自然に示すアプローチをとりましょう。言い間違いを指摘せずに正しい言い方を示すメリットは以下のとおりです。
- 赤ちゃんの自信を損なわない
- コミュニケーションの楽しさを維持できる
- 正しい言い方を繰り返し聞かせられる
- 自然な言葉の習得を促進する
間違いを恥ずかしがらせず、言葉の使用を褒めて励ますことで、赤ちゃんの言語発達を支援できます。赤ちゃんが自信を持って言葉を使えるよう、肯定的な環境を作りましょう。
先回りして話さない
赤ちゃんの言葉の発達を促すには、先回りして話さないことが重要です。赤ちゃんが言葉を発する機会を奪わないよう気をつけましょう。赤ちゃんがおもちゃを指さしているとき、すぐに「おもちゃが欲しいの?はい、どうぞ」と渡すのではなく、少し待ってみます。
赤ちゃんが自分で言葉を使いたくなるような環境を作ることが大切です。おもちゃを取ろうとしている赤ちゃんに対して「何が欲しいの?」と尋ねてみましょう。赤ちゃんが「アー」や「ブー」など何かしら声を出したら「おもちゃが欲しかったんだね」と言葉を補いながら応答します。
赤ちゃんの非言語コミュニケーションにも注目しましょう。表情やジェスチャーから赤ちゃんの意図を読み取り、言葉にして返すと効果的です。赤ちゃんの言葉を最後まで聞く姿勢を示すことで、安心して自分の思いを表現できます。
絵本を読み聞かせる
絵本の読み聞かせは、赤ちゃんの言葉の発達を促す効果的な方法です。毎日の習慣として取り入れると、赤ちゃんの語彙力や想像力が豊かになります。読み聞かせの際は、以下のポイントに気をつけると効果的です。
- 赤ちゃんの年齢や興味に合った絵本を選ぶ
- ゆっくりと分かりやすく読む
- 感情を込めて表情豊かに演じる
- 絵や登場人物について話しかける
- 赤ちゃんの反応や質問に丁寧に応える
同じ絵本を繰り返し読むことで、赤ちゃんの理解が深まります。読み終わった後に内容について話し合うと、より効果的です。絵本の世界を遊びに取り入れると、楽しみながら学べます。図書館や書店に一緒に行き、本選びを楽しむのもおすすめです。読み聞かせの時間を特別な親子の時間として大切にしましょう。
赤ちゃん言葉(幼児語)を使うメリット
赤ちゃん言葉(幼児語)を使うメリットは、話す楽しさを感じやすい点と繰り返しの言葉で覚えやすい点です。それぞれのメリットを詳しく見てみましょう。
話す楽しさを感じやすい
赤ちゃん言葉は、赤ちゃんが話す楽しさを感じやすい言葉です。赤ちゃん言葉には、繰り返しの音やリズムが含まれることが多いためです。「ワンワン」や「ブーブー」など、簡単な音や単語を使うため、赤ちゃんにとって親しみやすく、楽しく発音できます。
「マンマ」や「ネンネ」など、同じ音を繰り返すことで言葉のリズムを楽しみながら習得できます。赤ちゃん言葉を通して親子のスキンシップも自然と増えるため、絆を深めることが可能です。「キラキラ」や「フワフワ」など、感覚的な言葉を使えば赤ちゃんの想像力を刺激します。
繰り返しの言葉で覚えやすい
繰り返しの言葉は赤ちゃんにとって覚えやすく、言葉の習得を促進します。単純な音の繰り返しは、赤ちゃんの耳に心地よく響くので、記憶に残りやすいためです。繰り返しの言葉が赤ちゃんの言語発達に役立つ具体的な理由は以下のようになります。
- 発音しやすい
- 意味を理解しやすい
- 音のリズムを楽しめる
- 記憶に残りやすい
- 言葉の基本構造を学べる
「ワンワン」「ブーブー」「マンマ」などの言葉は、赤ちゃんが発音しやすく、意味も理解しやすいです。赤ちゃんは繰り返しの言葉を通じて、音の組み合わせや言葉のリズムを学びます。将来的により複雑な言葉を習得する基礎になります。
赤ちゃん言葉を使うデメリット
赤ちゃん言葉を使うデメリットは、言語発達の遅れにつながる可能性がある点と大人の言葉への切り替えが難しい点です。それぞれのデメリットを詳しく見てみましょう。
言語発達の遅れにつながる可能性がある
赤ちゃん言葉を長期間使用すると、言語発達に影響を与える可能性があります。正しい発音や文法を学ぶ機会が減ることで、語彙の拡大が制限されるリスクがあります。言語発達への影響は以下のとおりです。
- 複雑な言葉の理解や使用が遅れる
- コミュニケーションスキルに影響する
- 読み書き能力の発達に影響する
- 社会性の発達に影響する
- 自己表現の幅が狭まる
個人差が大きいため、一概に言語発達の遅れにつながると言えない部分もあります。赤ちゃん言葉を使う際は、徐々に正しい言葉に切り替えていくのが基本です。赤ちゃんの成長に合わせて、適切な言葉遣いを心がけましょう。家族や周囲の大人が正しい言葉を使うことで、赤ちゃんの言語発達を自然に促すことが可能です。
大人の言葉への切り替えが難しい
赤ちゃん言葉を長期間使用すると、大人の言葉への切り替えが難しくなります。赤ちゃんは周囲の大人の言葉遣いを真似るため、大人が赤ちゃん言葉を使い続けると、同じように使い続けてしまいます。赤ちゃんにとって「ワンワン」を「犬」に、「ブーブー」を「車」に切り替える必要性なんてわかりません。
しかし、大人の言葉への切り替えが難しくなると、学校生活でのコミュニケーションに影響を与えます。正しい言葉と赤ちゃん言葉の区別がつかなくなり、適切な場面での言葉の使い分けが苦手になるリスクも上がります。
問題を避けるには、年齢に応じて徐々に正しい言葉遣いに移行することです。赤ちゃん言葉と正しい言葉を並べて使ったり、絵本や歌を通じて正しい言葉に触れる機会を増やしたりしましょう。日常会話で正しい言葉を使うよう心がけ、赤ちゃんの言葉の発達を支援することが大人の役目です。
赤ちゃんの言葉の発達が遅い場合の対処法
赤ちゃんの言葉の発達には個人差があるため、焦る必要はありません。しかし、2歳を過ぎても一語文が出ない、3歳を過ぎても二語文が出ないなどの場合は、専門家への相談を検討しましょう。
発達の個人差
赤ちゃんによって発達のペースが異なるのは当然のことです。言葉の習得には大きな個人差があります。早く話し始める子もいれば、ゆっくりペースの子もいます。2歳までに言葉が出ない場合でも、必ずしも問題があるわけではありません。個人差が生じる理由は以下のとおりです。
- 環境や経験の違い
- 性格や気質
- 兄弟の有無や出生順
- 多言語環境での成長
- 身体的な発達との関連
兄弟がいる赤ちゃんは、一人っ子よりも言葉の発達が早い傾向があります。多言語環境で育つ赤ちゃんは、言葉の発達が少し遅れがちです。発達の遅れと個人差を見極めるには、専門家の判断が必要な場合もあります。多くの場合は焦らずに赤ちゃんのペースを尊重することが大切です。
専門家に相談するタイミング
赤ちゃんの言葉の発達に不安を感じたときは、専門家への相談を検討しましょう。1歳半を過ぎても意味のある言葉を話さない場合や、2歳を過ぎても2つの言葉をつなげて話さない場合は、注意が必要です。3歳になっても会話が成立しないようであれば、専門家のアドバイスを求めてください。
同年齢の赤ちゃんと比べて言葉の発達が著しく遅れている場合も、専門家に相談する目安です。2歳半になっても10個以上の単語を話せない場合などが該当します。名前を呼んでも振り向かないなどの症状がある場合では、早めに耳鼻科を受診しましょう。
言葉以外の発達面でも遅れが見られる場合や、保護者が不安を感じている場合も、専門家に相談するタイミングです。保育園や幼稚園の先生から言葉の遅れを指摘された場合も、専門家の意見を聞くのが賢明です。早めに相談することで、適切な支援や対策を受けられます。
赤ちゃんの発育に関する相談先
赤ちゃんの発育に関する相談先は多岐にわたります。主な相談先は以下のとおりです。
- 小児科医
- 保健所
- 児童相談所
- 言語聴覚士
- 発達支援センター
- 保育園・幼稚園の先生
- 子育て支援センター
専門家のアドバイスを受けることで、赤ちゃんの健やかな成長を支援できます。かかりつけの小児科や市区町村の保健センターは、身近で相談しやすい場所です。定期的な乳幼児健診も、お子さんの発育を確認する重要な機会になります。育児に不安を感じたら、1人で抱え込まずに相談することが大切です。
言葉の遅れに対するサポート方法
言葉の遅れに対するサポート方法として、対話を増やすことから始めましょう。日常生活の中で、赤ちゃんに積極的に話しかけ、反応を待つことが肝心です。食事のときに「おいしいね」と声をかけたり、散歩中に見かけたものについて説明したりします。
ジェスチャーや表情を活用することも効果的です。言葉と一緒に手振りや表情を使うことで、赤ちゃんの理解を深められます。絵本の読み聞かせも言葉の発達を促す良い方法です。絵を指さしながら、ゆっくりとわかりやすく読むことで、赤ちゃんの語彙を増やせます。
音楽やリズム遊び、言葉遊びや歌を楽しむことも言葉の発達を促す方法の一つです。リズムに合わせて体を動かしながら歌うことで、言葉の習得が楽しくなります。赤ちゃんの興味に合わせた活動を取り入れ、ゆっくりと明確に話すことも大切です。サポート方法を日常的に実践することで、赤ちゃんの言語能力の向上を促せます。
まとめ
赤ちゃんの言葉の発達は、一人ひとり異なるペースで進みます。個人差が大きいので、焦らずに見守ることが大切です。赤ちゃんの言葉を育むには、たくさん話しかけたり、絵本を読み聞かせたりするのが効果的です。
赤ちゃん言葉には楽しさや覚えやすさといったメリットがありますが、言語発達の遅れにつながる可能性もあります。言葉の遅れが気になる場合は、専門家に相談しましょう。適切なサポートと愛情を持って接することで、赤ちゃんの言葉の発達を助けられます。